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損益分岐点を下げるには、どこから手をつけるか|計算の先にある、固定費・限界利益・単価の優先順位

最終更新:2026-08-15

損益分岐点は、計算式を覚えて「うちは月いくら売れば赤字にならない」と分かったところで止まりがちです。ですが、経営で効いてくるのは、その分岐点そのものを下げることです。分岐点が下がれば、同じ売上でも利益が残り、売上が落ちた月への耐性も上がります。損益分岐点=固定費÷限界利益率なので、下げる方向は、突き詰めれば固定費を下げるか、限界利益率を上げるかの2つです。限界利益率は、単価を上げる、原価や商品構成を見直す、で上がります。問題は、固定費・限界利益率・単価のどこから手をつけるかです。ここでは、損益分岐点の計算の先にある「下げる順番」を、自社の数字から決める手順を整理します。

損益分岐点は「計算する」より「下げる」が本題

損益分岐点の本題は、計算して現状の分岐点を知ることではなく、その分岐点を下げることです。損益分岐点売上高は「固定費 ÷ 限界利益率」で決まるので、下げる方向は、固定費を下げるか、限界利益率(売上から変動費を引いた残りの割合)を上げるかの2つです。限界利益率を上げる代表的な打ち手が、単価を上げることと、原価や商品構成を見直すこと。本記事では実務の入口に合わせて固定費・限界利益率・単価の3つで整理しますが、単価は数式のうえでは限界利益率を上げる打ち手の一つです。計算で止めず、このどこから手をつけるかを決めることが、利益を残す近道です。

損益分岐点の計算式そのものは、検索すればすぐ出てきますし、会計ソフトの解説記事が丁寧に説明しています。固定費を限界利益率で割れば、赤字にならない売上高が分かる。ここまでは、多くの経営者がすでに知っています。

ところが、計算して「うちの分岐点は月◯◯万円」と分かっても、それだけでは利益は1円も増えません。分かったうえで、その分岐点を実際に下げにいく打ち手を選んで初めて、利益が動きます。計算はスタート地点で、本題はその先にあります。

損益分岐点を下げる方向は、式のうえでは固定費を下げるか、限界利益率を上げるかの2つに絞られます。限界利益率を上げる代表的な打ち手が、単価と、原価・商品構成の見直しです。逆に言えば、世の中の「損益分岐点を下げる方法」は、どれも固定費か限界利益率のどちらかを動かす話に分類できます。だとすれば経営者が決めるべきは、方法を数多く知ることではなく、固定費・限界利益率・単価のどこから手をつけるか、という順番です。

なぜ「損益分岐点の計算」で止まると利益が増えないのか

損益分岐点を計算しただけで利益が増えないのは、計算が「現状を知る」作業にとどまり、分岐点を動かす打ち手につながっていないからです。分岐点を下げるには固定費・限界利益率・単価のどれかを動かす必要がありますが、計算だけではどのレバーに余地があるかまでは見えません。定義や計算式の解説は会計ソフトの記事が充実しており、経営者に足りないのは計算の知識ではなく、自社のどのレバーから下げるかという順番の判断です。

「損益分岐点とは」「損益分岐点比率の目安」で調べると、計算式、業種別の目安、安全余裕率といった解説が並びます。どれも正確で、現状を数字で把握するには役立ちます。ただ、こうした記事は現状を測るところまでで、次に何をどの順で動かすかまでは踏み込みません。

現状を測っただけで手が止まると、次に起きるのは「とりあえず全部を少しずつ削る」か、「売上を増やせば分岐点は超えられる」という発想です。前者は売上を生んでいる費用まで削って縮小均衡を招き、後者は分岐点が高いまま売上を積むので、少し売上が落ちるとすぐ赤字に戻ります。どちらも、分岐点そのものを下げていません。

計算で止まったときに起きること

  • 分岐点の金額は分かったが、固定費・限界利益率・単価のどれに余地があるかを見ていない
  • 「一律◯%カット」で、売上を支える費用まで薄くして売上ごと落とす
  • 分岐点を下げないまま売上だけを積み、売上が落ちた月にすぐ赤字へ戻る
  • 限界利益で見れば足を引っぱっている商品や顧客を、売上規模だけを見て残し続ける

計算そのものが不要という話ではありません。現状の分岐点と分岐点比率を出すことは出発点として必要で、問題はそこで止めず、どのレバーから下げるかの判断につなげることです。

損益分岐点を下げる打ち手(固定費・限界利益率・単価)

損益分岐点売上高は「固定費 ÷ 限界利益率」で決まるので、動かせるのは固定費と限界利益率の2つです。固定費を下げると、損益分岐点売上高は「固定費の削減額 ÷ 限界利益率」だけ下がります(限界利益率40%なら固定費10万円減で25万円)。限界利益率を上げるには、単価を上げる、原価や商品構成を見直す、といった打ち手があります。本記事では実務の入口に合わせて固定費・限界利益率・単価の3つで整理しますが、単価は数式のうえでは限界利益率を上げる打ち手の一つです。なお販売数量は、この分岐点売上高の式そのものではなく、その売上を実際に超えられるか・利益が増えるかに効きます。打ち手は併用できますが、自社のどこに余地が大きいかで着手の順番が変わります。

打ち手は、固定費側と限界利益率側で分岐点の下げ方が違います。自社の費用構造や価格のどこに余地があるかで、効く打ち手が変わります。

レバー動かすもの損益分岐点への効き方主な打ち手
① 固定費を下げる毎月出ていく固定費の総額損益分岐点売上高が「固定費の削減額 ÷ 限界利益率」だけ下がる使っていない契約・過剰な間接費・惰性で続く費用の整理
② 限界利益率を上げる売上から変動費を引いた残りの割合率が上がると、同じ売上でより多く固定費を回収でき、分岐点が下がる不採算商品の整理、商品構成の見直し、原価率の調整
③ 単価を上げる販売単価・価格値引きや変動費が増えなければ、単価上昇で限界利益率が上がり損益分岐点売上高が下がる(数量減の影響は総利益で別途確認)値上げ、価格の見直し、値引きの抑制

厳密には、損益分岐点を決める財務的な変数は固定費と限界利益率の2つで、単価を上げることは限界利益率を上げる打ち手の一つです。ここでは実務で語られやすい入口に合わせて、固定費・限界利益率・単価の3つに分けています。

打ち手は同時に動かせますが、一度に全部へ手をつけると、どれが効いたのか分からなくなります。まず自社でいちばん余地の大きい打ち手を1つ選び、そこから着手するのが現実的です。どこに余地が大きいかは、次の損益分岐点比率で見当がつきます。

どのレバーから手をつけるか=自社の「損益分岐点比率」で決める

固定費・限界利益率・単価のどこから下げるかは、自社の損益分岐点比率(損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高)と、その中身で決めます。比率が高くて固定費が重いなら、まず固定費を下げる。限界利益率が低い(原価率が高い、不採算商品が多い)なら、商品構成と原価に手を入れて限界利益率を上げる。価格が長く据え置きなら、単価を上げる。分岐点比率は「売上がどれだけ落ちると収支トントンに達するか」の余裕度を示すので、比率が高いほど、まず効きの大きい打ち手から急いで下げる必要があります。

損益分岐点比率は、損益分岐点売上高を実際の売上高で割った割合です。比率が80%なら、売上が20%落ちると損益分岐点、つまり収支トントンに達し、そこからさらに下がると赤字になる、という余裕度を表します。比率が高いほど余裕がなく、分岐点を下げる優先度が高いということです。

比率の「中身」から、効くレバーを見分ける

  • 固定費が重くて比率が高い(間接費・地代・保守などが大きい)→ まず①固定費を下げる
  • 限界利益率が低い(原価率が高い、値引きが多い、不採算商品が多い)→ ②限界利益率を上げる(商品構成・原価)
  • 価格を長く据え置いている、コスト上昇を価格に反映できていない → ③単価を上げる

同じ「分岐点比率が高い」でも、主因が固定費なのか限界利益率なのかで、現実に動かせるレバーは変わります。理屈のうえではどのレバーでも分岐点は下がり、値上げで限界利益率を十分に上げられれば、固定費が重くても分岐点は大きく下がります。ただ実際には、固定費が重い会社は固定費の削り代に余地があることが多く、価格は顧客への影響で動かせる幅が限られることもあります。だからこそ、比率の数字だけでなく、その中身と、どのレバーに改善余地と実行可能性があるかを見て選びます。

見分ける手順は、①固定費÷売上高で固定費の重さを見る、②限界利益率を出す、③商品・顧客・チャネル別に限界利益と回避可能費まで含めた増分利益を並べる、の3つです。そのうえで、候補となる打ち手それぞれで改善後の「固定費 ÷ 限界利益率」を試算し、分岐点の下げ幅・売上への副作用・実行の負担を見比べて、着手する順番を決めます。

固定費が重いと分かったなら、次はその固定費のどれから削るかという順番の問題になります。費目を「売上への効き」と「削り代」で仕分けて、利益に効く順に削る手順は、固定費側の記事で詳しく扱っています。

限界利益で「不採算の商品・顧客・チャネル」を見つける

限界利益(売上から変動費を引いた額)で見ると、売上規模だけでは分からない採算の差が浮かびます。まず整理を急ぐのは、限界利益がマイナスの商品・顧客・チャネルです。ここは売るほど赤字が増えるため、値上げや原価改善で採算に乗せるか、乗らなければ縮小します。限界利益がプラスでも薄い先は、それ自体は固定費の回収に貢献します。ただし、在庫・保管・廃棄のように「その先をやめれば無くせる費用(回避可能費)」や、棚・生産能力・運転資金といった限られた資源を厚い商材から奪う機会損失まで差し引いた増分利益で見ると、マイナスに転じることがあります。売上の大きさではなく、限界利益と、回避可能費まで差し引いた増分利益で、商品・顧客・チャネルを見分けます。

限界利益は、売上からその売上に応じて増減する変動費(仕入れ・原価など)を引いた額です。ここがマイナスの商品や顧客は、売れば売るほど赤字を増やします。限界利益がプラスでも薄い先は、短期的には固定費の回収に貢献します。ただし、在庫・保管・廃棄のように「その先をやめれば無くせる費用(回避可能費)」や、限られた資源を厚い商材から奪う機会損失まで差し引いた増分利益で見ると、マイナスに転じることがあります。ところが売上規模だけを見ていると、こうした先が「主力」に見えてしまい、見直しの対象から外れがちです。

商品ごと、顧客ごと、チャネルごとに限界利益を並べると、売上の順位と限界利益の順位がずれている先が出てきます。売上は大きいのに限界利益は薄い、逆に売上は小さいが限界利益が厚い。この並べ替えが、どこに力点を移すかの判断材料になります。

見直すときは、単純に切るのではなく、値上げや原価改善で採算に乗せられる先は立て直し、乗らない先は縮小して、コアの商材とその周辺で確実に売れるものへ力点を移します。とくに売れ筋でない品目は、並べておくこと自体にも在庫・保管・廃棄のコストがかかるため、これらの回避可能費まで差し引いた増分利益ではマイナスに傾きがちです。限界利益の厚い主力へ寄せると、限界利益率が上がり、損益分岐点が下がります。

固定費を下げて、分岐点を下げる

固定費を下げると、その削減額を限界利益率で割った分だけ損益分岐点売上高が下がります。ただし固定費を金額の大きい順に一律で削ると、売上を支えている費用まで削って売上ごと落としかねません。固定費は「売上への効き」と「削り代」で費目を仕分け、売上連動が低く削り代の大きい費用から削るのが順番です。分岐点比率が高く、その主因が固定費にある会社は、固定費削減が優先度の高い候補になります。ただし限界利益率の改善余地しだいでは価格や商品構成のほうが効く場合もあるため、各打ち手について改善後の「固定費 ÷ 限界利益率」を試算し、下げ幅・売上への副作用・実行可能性で選びます。

固定費のレバーは、効き方が分かりやすいのが特徴です。固定費が月10万円下がれば、その削減額を限界利益率で割った分(限界利益率が40%なら25万円)だけ損益分岐点売上高が下がります。売上を増やさなくても、赤字にならないラインが下がる。ここが、売上を積むより確実に効く理由です。

ただし、固定費なら何でも削ってよいわけではありません。売上を直接支えている主力人材の人件費や、効いている販促は、金額が大きくても最後まで触らない費用です。ここを金額の大きさだけで削ると、コスト以上に売上が落ちます。どの固定費から削り、どの固定費には手をつけないか、その順番は固定費側の記事で詳しく扱っています。

固定費のうち、そもそも気づかないまま漏れている支出を先に押さえたい場合は、症状から利益の漏れを逆引きする手順が役立ちます。

単価・値上げで、分岐点を下げる

単価を上げて、値引きや変動費が増えなければ、限界利益率が上がって損益分岐点売上高が下がります。1つあたりの限界利益が増え、固定費を回収するのに必要な売上が減るからです。コストの上昇を価格に反映できていない、長く価格を据え置いている会社ほど、このレバーの余地が大きくなります。ただし、値上げで販売数量が落ちる場合は、分岐点売上高そのものが下がっても、実際の売上が新しい分岐点を超えられるか、総利益が増えるかは別問題です。実行の前後で、単位あたりの限界利益・限界利益率に加えて、販売数量・値引き率・販売手数料まで確認します。単価は値上げだけでなく、過度な値引きの抑制や、価格に見合う価値の伝え方の見直しでも動かせます。

単価のレバーは、限界利益率を直接押し上げます。仕入れや原価がほぼ同じまま単価だけが上がれば、1つ売るごとの限界利益が増え、固定費を回収し終える売上(=損益分岐点)が下がります。数量を増やさずに分岐点を下げられるのが、このレバーの強みです。ただし、値上げで販売数量が大きく落ちたり、値引きや販売手数料が増えたりすると、単位あたりの限界利益が増えても総額では改善しないことがあります。実行の前後で、単位あたりの限界利益・販売数量・値引き率をあわせて確認します。

とくに、コストが上がっているのに価格を据え置いている場合、限界利益率は静かに下がり続け、分岐点は上がっていきます。価格を見直さないこと自体が、分岐点を押し上げているわけです。なお分岐点売上高が下がっても、値上げで数量が大きく落ちれば総利益はかえって減ることもあるため、値上げの前後は単位あたりの限界利益と販売数量の両方を見て、総利益で判断します。値上げには顧客離れの懸念がつきものですが、価格の伝え方や対象商品の選び方で、離反を抑えながら利益を取り戻す進め方があります。

価格や商品構成といった売上側の「質」から利益率を組み替える着眼点は、収益改善の記事でも扱っています。

下げた損益分岐点を、維持する手順

損益分岐点は一度下げても、固定費の再増加や値引きの常態化、不採算商品の復活で、放っておくと元に戻ります。維持するには、診断・実行・モニタリングの順で回します。分岐点比率と限界利益率を定期的に出し(診断)、効くレバーから下げ(実行)、下げたあとに固定費・限界利益率・単価が逆戻りしていないかを追う(モニタリング)。とくに新しい固定費の追加と、値引きの常態化は分岐点を押し戻すため、増やす前に「この支出で分岐点はどれだけ上がるか」を確認する習慣が効きます。

損益分岐点は、下げて終わりではありません。固定費は稟議のたびに少しずつ積み上がり、値引きは競合対応で常態化し、いったん整理した不採算商品も「せっかくだから」と復活します。放っておくと、分岐点はゆっくり元の高さへ戻ります。

  1. 損益分岐点比率と限界利益率を、月次または四半期で定期的に出す(診断)
  2. 比率の中身から効くレバーを選び、固定費・限界利益率・単価のどれかから下げる(実行)
  3. 下げたあと、固定費が再び増えていないか、値引きが常態化していないか、整理した不採算商品が戻っていないかを追う(モニタリング)
  4. 新しい固定費を増やすときは、増やす前に「この支出で分岐点売上高がどれだけ上がるか」を試算し、見合うかを確認する

モニタリングの間隔は、分岐点が動く速さに合わせます。固定費や単価はすぐ数字に表れますが、不採算商品の整理は在庫が入れ替わるまで限界利益率に反映されないため、数か月の遅れを見込んで追うと、効果の判定を誤りません。

すでに赤字が続き、資金繰りが逼迫している場合は、分岐点の維持より先に、資金の手当てと立て直しの着手順位を優先してください。その局面の進め方は別記事で扱っています。

自社はどのレバーから下げるべきかを、診断で確かめる

自社の損益分岐点を、固定費・限界利益率・単価のどのレバーから下げるべきかは、経営者のタイプと現在の症状から当たりをつけられます。無料の経営ROI診断(約5分)では、6つの経営領域から自社に近い経営者タイプと、最初に着手すべき領域を確認できます。分岐点比率を出して固定費と限界利益率のどちらが主因かを見たうえで、社内で立てた優先順位を第三者のフレームで照らし直す使い方ができます。

損益分岐点をどのレバーから下げるかを社内だけで決めると、直近で目立っている費用や、話題になっている施策に寄りがちです。分岐点への効きが大きいレバーと、社内で気になっているレバーは、必ずしも一致しません。

無料の経営ROI診断(約5分)では、成長戦略・意思決定・組織実行・人材後継・DX業務・顧客市場の6領域から、自社に近い経営者タイプと着手すべき領域を整理できます。分岐点を下げるレバーを選ぶ前に、自社の優先順位を俯瞰する材料として使えます。

よくある質問

Q. 損益分岐点を下げるには、何をすればよいですか?
A. 損益分岐点=固定費÷限界利益率なので、下げる方向は、固定費を下げるか、限界利益率を上げるかの2つです。限界利益率は単価や商品構成・原価で上がります。実務では固定費・限界利益率・単価の入口で考え、どれから手をつけるかは自社の損益分岐点比率とその中身で決めます。比率が高く固定費が重いなら固定費、限界利益率が低い(原価率が高い・不採算商品が多い)なら商品構成と原価、価格を据え置いているなら単価が、まず候補になります。
Q. 損益分岐点比率は、何%を目安にすればよいですか?
A. 損益分岐点比率(損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高)は、低いほど売上減少への耐性が高いことを示します。一般に業種で幅がありますが、目安の数字を追うより、自社の比率が前年より上がっているか下がっているか、その主因が固定費と限界利益率のどちらにあるかを見るほうが、次の打ち手につながります。
Q. 損益分岐点を下げるのと、売上を増やすのは、どちらを優先すべきですか?
A. 分岐点が高いまま売上だけを増やすと、少し売上が落ちた月にすぐ赤字へ戻ります。まず分岐点を下げておくと、同じ売上でも利益が残り、売上変動への耐性が上がります。売上を増やす取り組みと並行してよいですが、分岐点を下げないまま売上を積むだけにしないよう注意します。
Q. 限界利益と粗利は、何が違うのですか?
A. 限界利益は売上から変動費(売上に直接ひもづく費用)を引いた額で、粗利(売上総利益)は売上から売上原価を引いた額です。両者は近い場面もありますが、損益分岐点を考えるときは、売上に連動して増減する変動費で切り分ける限界利益のほうが、固定費をどれだけ回収できるかを判断しやすくなります。
Q. 固定費と単価、どちらのレバーから手をつけるべきですか?
A. 損益分岐点比率の主因がどちらにあるかで見当をつけ、固定費・限界利益率・単価のどれに改善余地と実行可能性があるかを比べて決めます。間接費や地代など固定費が重くて比率が高いなら固定費、原価率が高い・値引きが多い・価格を据え置いているなら限界利益率と単価が候補です。理屈のうえではどのレバーでも分岐点は下がるため、迷う場合は、各施策を実行したあとの損益分岐点売上高を試算して、下げ幅と実行のしやすさで優先順位を決めます。
Q. 売上はあるのに利益が残らないのは、なぜですか?
A. 売上規模だけを見て、限界利益がマイナスの商品・顧客・チャネル(売るほど赤字を増やす先)を主力として残していることが一因です。限界利益がプラスでも薄い先は、在庫や回避可能費まで差し引いた増分利益ではマイナスに転じることがあります。商品・顧客・チャネルごとに限界利益と、やめれば無くせる費用(回避可能費)を並べ、増分利益がマイナスの先は値上げ・原価改善で立て直すか縮小し、厚い主力へ力点を移すと、限界利益率が上がって損益分岐点が下がります。

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* 記載の成果は、代表・河野が過去に関わった特定の案件での実例であり、同種の成果を保証するものではありません。実際の結果は事業構成や各社の状況によって異なります。